ここ数年は建設資材の価格高騰が問題となっています。
建物の建築に欠かせないコンクリートも価格上昇が続いていますね。
この価格上昇は未だに天井が見えません。
この記事では、コンクリートの価格上昇について、解説していきます。
1.コンクリートの価格
①コンクリートの価格推移
ここ数年は世界的に建設資材の値上げが続いています。
特に、2020年から2022年にかけての木材や鋼材の価格高騰は深刻でしたが、2022年後半になり、木材は下落し鋼材は高止まりし、価格は落ち着きました。
一方で生コンクリートの値上げは留まるとこを知りません。
一般財団法人・経営調査会が好評している建設資材価格指数によると、2015年から現在まで生コンクリートの価格は20~200%程度まで上がっております。
状況が変わり下落に転じる気配は今のところは感じません。
参考:一般財団法人・経済調査会(https://www.zai-keicho.or.jp/)
②コンクリート原材料の価格推移
コンクリートの原材料は骨材(砂利・砂)とセメントです。
これらコンクリート原材料の価格推移も、建設資材価格指数で把握が出来ます。
それによると、2015年から現在までセメントは117~168%、骨材は100~148%上昇と、セメントの上昇率が著しいと分かります。
2.原因
①砂不足
世界中の多くの地域で砂不足が叫ばれています。
実は砂が天然資源の一つですが、世界中で使用され続けているので、慢性的な不足を生んでいます。
需要に供給が追い付かず、砂自体の価格も高騰している事が、生コンクリートの価格高騰に繋がっています。
①ロシアのウクライナ侵攻の影響
・石炭の高騰
セメントの生成には高温焼成の工程があります。
この高温焼成の工程には、大量の燃料が必要となりますが、日本産のセメントには燃料として、ロシア産の石炭が使用されています。
ロシアがウクライナに侵攻した事で、石炭の価格が急上昇したことが直結。
石炭の価格高騰はセメントの価格高騰へ繋がり、セメントの価格高騰が生コンクリートへも影響しています。
・原油の高騰
輸送コストは原油価格に大きな影響を受けます。
ロシアからの原油供給量が減少した事で、原油価格はここ数年で大幅に高騰しており、それが生コンクリートの価格にも反映されていると考えられます。
3.今後の見通しは?
ロシアとウクライナの情勢が落ち着き、ロシアとの関係が改善されれば、価格高騰も止まるでしょう。
しかし、国際的な大きな問題という事もあり、早期解決は難しいかと思われます。
また、生コンクリート協同組合による、絶対的販売体制下では価格競争は起こりにくく、他の資材の様に短期間で価格が変動する事は殆どありません。
上記2点から、今後も価格は下がりにくい、と予想されます。
4.では打開策は?
社会全体が脱炭素に向けた取り組みを意識し始めています。
国内のセメントメーカ―の中には、二酸化炭素排出の減少を目的に、石炭の使用量減少を探っているメーカーもあります。
製造に必要な燃料(石炭)が減れば、価格も抑えられるかもしれません。
また、脱炭素に向けた取り組みは、輸送コストの削減にもなります。
脱炭素が今後の大きなカギを握りそうですね。
東京都地区生コンクリート協同組合(https://www.t-namakyo.jp/index.html?j=3&n=2)