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老朽化インフラの現状

3日前

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トータルサポート株式会社

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インフラは私たちの生活になくてはならいものです。


日本は高度経済成長期に集中的にインフラを整備した事で、今後一斉に老朽化が進むと見込まれています。


この問題を放置すれば、事故や災害のリスクが高まるだけでなく、修繕費用が増大し経済的負担が膨れ上がります。


近年はこれらのインフラを効率的に延命化する為の技術や政策が注目されています。


この記事では、インフラが老朽化している現状や、今後どの様に対策をしていくか等、解説していきたいと思います。





1.現状


①老朽化インフラ


以下の表の通り、高度経済成長期に集中的に整備された道路・橋・トンネル・下水道・河川・港湾などは、築50年以上経過するインフラの割合が急増すると予想されます。


築50年以上経過するインフラの割合推移
築50年以上経過するインフラの割合推移


②人材不足


老朽化するインフラが急増する中で、適切で効率的な維持管理を行う為には、建設就業者の確保が必要となります。


しかし近年の建設業界は、若年層の流入の低下やベテラン層の引退などで、人手不足が深刻化しています。


これに加え、2024年に時間外労働の上限規制が設けられたため、労働時間も減少しています。


また、市町村における土木部門の職員数も、2005年と2013年を比較すると、約14%減少しています。



③自治体の負担


各分野のインフラの管理体制の現状・各分野の管理者割合
管理体制の現状・各分野の管理者割合

例えば、日本には橋梁が約73万棟橋ありますが、このうち地方共生団体が管理する橋は、全体の9割以上となっています。


2022年5月時点の市区町村における橋梁に携わる土木技術者割合
2022年5月時点の市区町村における橋梁に携わる土木技術者

しかし、橋梁管理に携わる土木技術者が存在しない市区町村は、市区でも5%もあります。


他にも道路や下水道施設、トンネスや公園等、多くは市区町村が維持管理しております。


この様な状況下で地方公共団体は老朽化が進む大量のインフラを維持管理していく必要が出てます。



2.老朽化インフラを放置すると


2012年12月2日に、中央自動車道の笹子トンネルにて天井板の落下事故が発生するという、悲惨な事故が起きました。


国土交通省の専門機関によると「天井板を吊下げる部材の設計・施工や、経年劣化、点検・維持管理等の要因が複数作用し、蓄積された結果事故に至った」と報告されています。


個別のインフラの老朽化程度には、立地条件や利用条件などによりバラつきがありますが、適切な補修や大規模修繕が行われなければ、経年や利用状況の蓄積によりインフラの損傷は進み、事故に繋がってしまいます


二度とこのような事故を起こさない為にも、適切な修繕・補修が必要となってきます。


また、切迫する南海トラフ巨大地震などの大規模災害に対し、耐震性や万が一の事故に対する安全性能の向上等、安全や安心の確保のためにインフラを整備する必要もあります。



3.政策や取組み


①「事後保全」から「予防保全」への転換

2048年度の修繕管理費の見通し
2048年度の修繕管理費の見通し

国土交通省による2048年度の維持管理費の推計を見てみましょう。


「事後保全」の場合は2018年度の約2.4倍になると推計されています。

一方で、「予防保全」の場合は事後保全と比べて、約5割減少すると推計されています。


しかし、インフラの老朽化状況を調査したところ、早期に措置が必要な施設が多数存在していると判明し、それらから対応をしていくとなると、予防保全への完全移行には約20年もかかってしまうそうです。



②包括的民間委託の導入


これまではインフラ施設ごとにそれぞれの業者に委託業務を発注していました。

しかし、複数の業務やエリアを包括化し、一つの業務に纏めて発注する事で、業務が効率化出来る様になりました。


また、受注する企業側も長期的な契約の為、安定した収入となり将来の見通しがつきやすくなる、といったメリットがあります。



③維持管理の研修


地方公共団体等への技術的支援の一環として、施設管理者の技術力向上を図っています。



④新技術導入を促進するマニュアル策定


新技術の導入を加速させる事や、横断的な展開を促進する事を目的に、令和3年3月に「新技術導入の手引き」が作成されました。



⑤民間資格の登録制度


人手不足の為、点検や診断に必要となる知識や技術を登録要件として明確化し、登録要件に適合すると確認された既存の民間資格の登録を開始しました。



4.まとめ


高度経済成長期に整備されたインフラは一斉に老朽化を迎えています。


道路や橋などのインフラは、地方公共団体が大半を維持管理しており、地方公共団体の負担が大きくなっています。


しかし、老朽化したインフラを放置してしまうと、事故や災害に繋がる恐れがあるため、修繕はやらざるを得ません。


将来的な修繕費の観点からも、「事後保全」から「予防保全」へ切り替えた方が賢明ですが、早急に修繕しなくてはならないインフラが多く、予防保全への完全切り替えには20年ほどかかってしまいます。


更には、建設就業者数や地方公共団体の技術系職員も減少しており、人手不足が深刻化している現状で、どの様な対処方法があるでしょう。


包括的民間委託の導入や維持管理の研修などを、インフラ長寿化計画の一部として政府が行っています。



次回は、老朽化インフラの修繕に関する新技術や、活用事例をご紹介していく予定です。

DX技術の導入を検討されている方や、最新技術を活用した工事事例に興味がある方、是非楽しみにお待ちいただけると嬉しいです。



出典:「国土交通省におけるインフラメンテナンスの取組」国土交通省

出典:「老朽化対策の取組み」国土交通省

出典:「インフラ老朽化対策」国土交通省

出典:「インフラ長寿命化基本計画」平成25年11月インフ老朽化の推進に関する関係省庁連絡会議

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