今年も残すところ1ヶ月半となりました。
来年になったら確定申告の準備を始めようと悠長にしていると、
あっという間に確定申告の時期になってしまいます。
とにかくやる事が多い確定申告、今のうちに今年の経費計上を行い、
申請時にはサッと対応できるようにしておきたいところですね。
どうやって申告するのか、何を計算しておくべきか、この記事では確定申告を解説します。
難しい用語や計算方法や、経費計上が可能な項目の確認等、徹底的に説明します。
お役立ていただければ嬉しいです。
■1-収入と所得の違い
「収入」と「所得」と聞くと、どちらも同じようなイメージですが、意味合いが全く異なります。
・収入...売上総額の事を指します
・所得...経費を差し引いた手元に残るお金のことを指します
つまり1年間で800万円の収入があっても、経費として200万円は使っているのであれば、所得は600万円となります。
■2-青色申告のアレコレ
確定申告には「青色申告」と「白色申告」の2種類あります。
白色申告の場合は単式簿記なので、家計簿レベルでの簡単な帳簿でOKです。
昨今は会計ソフトもだいぶ充実してきており、帳簿付けがしやすくなっている事もあり、あえて白色申告を選択される方は少なくなっています。
ですので、これより青色申告を前提として、話をさせていただきます。
①メリット
・無条件で65万円控除が受けられます
通常は領収書を1つずつ積み上げていく必要がありますが、青色申告が認められると無条件で、65万円の経費が計上できると思って良いです。
・家族への給料が全額経費になります
青色申告者と生計を同一にする配偶者、又は15歳以上の親族である事が条件に、事業を手伝ってくれる親族への給料が、全額経費として計上出来ます。
・30万円未満の固定資産が一括経費になります
本来、車やPCなど10万円以上の固定資産は減価償却と云って、決められた耐用年数に分割して、経費計上するのが基本です。
しかし、青色申告の場合は30万円未満の固定資産なら、購入年に一括で経費計上が可能になります。
・赤字を翌年度以降に繰り越せます
青色申告の場合は純損失の繰り越しが認められています。
例えば、開業初年度の売り上げが400万円で経費は450万円だった場合、50万円の赤字となります。
この場合は赤字なので当然税金は納めません。
次の年に、売り上げが500万円で経費が400万円だった場合、100万円の所得を得た事になります。
本来この100万円に対しては課税されますが、純損失の繰り越しが出来る様になると、開業初年度の50万円の赤字を、次の年の利益100万円から差し引け、差額の50万円に課税されます。
②デメリット
青色申告で確定申告する前に、申請手続きが必要になります。
また、複雑な複式簿記が求められ、内容も難しくなっています。
しかし、最近では数多くの会計ソフトが出ており、簡単になってきています。
③手続き方法
開業から2ケ月以内に「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に提出します。
■3-一人親方が計上できる経費について
正しい所得を算出する事が、確定申告において重要となります。
その為には、一人親方や個人事業主の確定申告で計上できる経費について、紹介しておきます。
上記の表の様に、事業と関連するものは、基本的に全て経費です。
私用と仕事用は曖昧な線引きとなっているので、私用の支払いも計上する事が出来そうですが、私用の物は計上しない様にご注意ください。
特にコンビニやレストランなどは注意が必要です。
領収書さえあれば何でも計上できると思って申告してしまうと、税務調査の際に脱税だと見なされて追徴課税が科されます。
どこかのタイミングで必ず税務調査は入ります。
数年分の追徴課税は恐ろしいので、最初からリスクは負わない様に、正しい経費を計上しましょう。
■4-一人親方や個人事業主の確定申告のステップ
まずは、「白色確定申告」「青色確定申告」の2種類の方法から、申告方法を決めましょう。
①所得金額を算出
「所得金額=収入-経費」で求められます。
税金を計算する上で重要となるのが所得金額です。
必要経費を正しく計上する事で、大幅な節税も可能となるので、領収書はきちんと保管しましょう。
②課税所得金額を算出
「課税所得金額=所得額-所得控除」で求められます。
所得控除は、条件に合わせて所得の合計金額から、一定金額を差し引ける制度の事です。
所得控除が利用できる費用は以下の様なものがあります。
・医療費控除
・社会保険料控除
・生命保険料控除
・地震保険料控除
・寡婦一人親控除
・障がい者控除
・配偶者控除
控除できる金額は人によって異なります。
保険料や医療費の控除額について、10月から年末にかけて送られてくる書類で確認が出来ますので、大切に保管しましょう。
③税額の計算をする
課税所得金額が求められたら、税額所得税の計算をします。
所得税の税率は課税所得金額によって決められており、金額が大きくなるほど税率も高くなります。
詳細は下記の国税庁ホームページからご確認下さい。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm
④税務署に提出
2月中旬~3月15日までに管轄の税務署に提出する必要があります。
・白色申告...確定申告書、収入内訳書、控除関係の書類
・青色申告...確定申告書、控除関係の書類、青色申告決算書、損益計算書、損益計算書の内訳書、賃借対照表など
これらの書類を自分で作成するのが難しい場合は、収入や経費を入力すれば自動的に計算をして、書類の作成まで行ってくれる会計ソフトの活用もオススメです。
また、申告費用はかさみますが、税理士に頼むのも手です。
■5-注意点
①「外注費」と「給料」の違い
誰かに仕事を手伝ってもらった時に支払う報酬には注意が必要となります。
・外注費...一時的な請負契約であるため源泉徴収はなく、社会保険の加入義務もありません
・給料...長期にわたって雇用している場合は雇用契約となります。雇用契約に基づき就業をされる場合は、源泉徴収や社会保険への義務も生じます。
②在庫管理
年末時点で在庫として残っている材料は「棚卸資産」と呼ばれ、経費から除外しなくてはなりません。
売上純利益を算出する際には「仕入れ額-棚卸資産」で計算ができます。
③労災の特別加入
労災保険の特別加入をする場合には、一人親方団体や組合等を通します。
その際に発生する組合費や入会費などは、どう会計処理をすれば良いでしょうか。
組合費や入会金は「租税公課」として、
入会手数料や支払い手数料は「支払い手数料」として、
社会保険料は「社会保険料控除」として、申告します。
尚、社会保険への加入は従業員への福利厚生と考えがちですが、公的保険のため福利厚生には含まれません。
■6-まとめ
中には必要性を認識しながらも、確定申告を行わない方も多いです。
しかし、税務調査があった際に追徴課税として、多額の税金を課されてしまいます。
また、金融機関の融資が受けられなかったり、建設業許可も取得できなくなったリ、補助金や助成金を利用できなくなります。
しっかりと確定申告をして、納税もしておきましょう。
知識がないと難しい経理作業もありますが、会計ツールや税理士に頼る事も出来ます。
一人でで悩まずに是非ご相談下さい。