〈建設業の今を取り上げていく〉を掲げる当社のコラム。
記念すべき第一回目は、現状を見ていくのに欠かせない、「労働環境」についてです。
課題となっているポイント、進められている取り組み、将来的にどうなるのか等、
この記事で解説していこうかと思います。
大きな転換期を迎えた2024年ですが、この変化の流れに遅れない様に、
是非ご一読いただきたい内容となっています。
1.平均年齢の高齢化、若年層の流入低下
ー①平均年齢の高齢化、若年層の流入低下
60歳以上の技能者は全体の約1/4(25.7%)を占めており、
10年後15年後には大半が引退する事が見込まれています。
一方、これからの建設業を支える若年層は、全体の約12%程度となっており、
若年層の確保と育成が課題に挙がっています。
Q ではどの様にすれば若年層の育成や確保が可能となるのか?
A イメージ改善、処遇改善、働き方改革、生産性の向上等を進める事が重要となります。
ー②現状の働き方
年間の総実働時間については、全産業と比較すると340時間以上長く、
休日の取得数も少なくなっております。
また、この20年間の総実働時間の推移をみると、全産業は約255時間も減少しているが、
建設業は約50時間の減少と減少幅が小さいのが現状だ。
ー③年間賃金の総支給額の推移
全産業の男性労働者と比較すると、建設業の男性労働者の総支給額は、
著しい上昇率を見せておりますね。
ここ数年で約90万円と急増加しており、全産業男性労働者の平均より高給だ。
2.実行されている取り組み
ー①時間外労働規制の見直し(働き方改革関連法)
労働基準法の改正により、時間外労働規制を見直し、令和6年4月より適用。
罰則付きの時間外労働規制が適用される事で、国土交通省直轄工事における週休2日モデル工事の拡大や、地方公共団体・民間発注者・建設業者への働きかけ等を実施し、適正な工期設定を行えるよう工期に関する基準を設定し勧告しました。
これにより、休日の量と共に、休日の質も向上しており、
働きやすい環境作りが進んでいます。
ー②建設キャリアアップシステムの普及
2024年2月末時点で、技能者が138万2876人、事業者が25万5752者程であり、
年々増加傾向にあります。
技能者の資格や現場での就業履歴などを蓄積する事で、データを基に給与や待遇の見直し等が行えるので、若い世代もキャリアの見通しがしやすくなります。
ー③工期の適正化
中央建設業審議会が、工期に関する基準を作成・勧告、
短い工期による請負契約の締結を禁止して、現場へのしわ寄せを防ぐ努力をしています。
ICT技術やIol技術の導入も進めており、施工品質の向上や業務の効率化を図っております。
これらの技術導入により、休日の確保や労働時間の適正化にも繋がり、受注者の負担を減らしてくれるでしょう。
3.まとめ
上述した、労働者の負担を減らす努力を各方面から進めて、少しずつ働き方の改革を進めています。
更に、ICT技術の導入により効率化を図る事が、人手不足の解消に大きな影響を与えるでしょう。
また、慢性課題であった時間労働の是正や給与待遇の改善も、業界全体のルールやシステムを通して、少しずつ改善しつつあります。
他業種と比較するとまだまだ改革途中となりますが、それでも少しずつ着実に改善されていっています。
業界が一体化して課題に取り組む事で、希望のある業界となりうる可能性が高く、将来性は非常に高いかと思います。
これから建設業界を目指す方、建設業界で今働いている方、共に課題解決に臨みましょう。