業務効率化を推進する上でDX化は欠かせません。
他業種と比較すると建設業界でのDX導入はまだまだ進んでいません。
まずは図面を電子化する事から始めるのは如何でしょう。
今回は、図面の電子化によって期待できるメリットや、課題や注意点について解説していきます。
是非ご参考いただければと思います。
図面の保存義務について
建築三法(建築基準法・建設業法・建築士法)により、資料の保存が義務付けられています。
保存義務が生じる資料は以下の通りとなります。
・建築基準法...保存が義務付けられている書類は無い
・建設業法...完成図・打合せ資料・施工体系図が保存義務あり
・建築士法...配置図・平面図・立面図・断面図・基礎伏図・床伏図・小屋伏図・構造詳細図・構造計算書が保存義務あり
建設業法では図面により10年間の保存を義務付けられています。
10年間の長期保管には電子図面の方が良さそうですね。
紙図面でよくある課題
①管理が面倒
紙図面を管理する場合、整理してファイルに綴じたり、資料に番号を割り振ったり、作業の手間が発生します。
また、書類を保管するスペースの確保も必要となり、管理がより大変になりますね。
②情報共有が行いにくい
これまでの様な紙図面の場合、設計上で変更点が出ると、1枚ずつ修正が必要になります。
修正した図面のやり取りについても、会社と現場でライムラグが発生していまい、共有がスムーズにいきません。
また、社外の工事関係者に共有する際にも、メールやFAXを相手毎に送る必要があり、状況共有が複雑化します。
③コストがかかる
紙図面では印刷用紙やインク代といった印刷費がかかります。
また、郵送のやり取りがある場合は郵送コストもかかりますし、保管用ファイルやキャビネットなど備品の購入費もかかります。
今後10年20年、紙図面での保管をすると考えると、かなりのコストになりますね。
④セキュリティのリスク
紙で図面を保管しておくと、紛失のリスクも増加します。
他にも、不正に改ざんされてしまったり、第三者が持ち出してしまったり、様々なリスクが懸念されます。
また、紙が劣化して見にくくなる可能性も高く、紙図面は長期的な保管には向きません。
図面を電子化するメリット
①管理が楽に
パソコンやクラウドに保存するので、大量の図面を保存しても嵩張らず、保管がしやすくなります。
管理の為に行う事といえば、ファイル名を付けるだけになるので、保管も簡易化出来ます。
また、紙図面の場合は災害などで消失する恐れがありますが、電子図面ならすぐに事業再開が出来ます。
②情報共有も楽に
図面の修正があっても、修正した図面をクラウド環境にUPするだけで、共有が完了します。
会社と現場での情報共有にタイムラグが発生しません。
また、現場や家など何処にいてもアクセスが出来るので、柔軟な働き方が出来るように。
③コスト削減
まず印刷費がかかりません。
ファイルや保管用のキャビネットなども不要になりコスト削減に繋がるかと思います。
④セキュリティの強化
アクセス権限を定めたり、パスワードでロックをかけたり、システムログを残したり、セキュリティを強化できます。
また紛失や経年劣化も防止できます。
電子図面にする際の注意点
□原本は一定期間残すように
紙図面を電子化した場合、原本である紙図面も、一定期間残しましょう。
保存出来ていなかった場合、保存し直す必要があります。
社内で保管期限を定めて、期限を過ぎた図面に関しては、廃棄しても問題ないでしょう。
□図面の管理方法について社内で共有を
図面を保存するタイミング、変更したらファイルにメモを残す、ファイル名のつけ方の統一、など社内ルールが必要になってくるかと思います。
□バックアップをとる
電子図面の唯一の弱点は消えてしまうと復元が難しい場合もある事です。
安全策としてバックアップを定期的に取りましょう。
自動バックアップの設定をしても良さそうです。
□セキュリティをかける
ハッキングンターゲットは中小企業が多い事をご存じでしょうか。
図面や資料をクラウド環境で管理する場合は、セキュリティをしっかりとかけましょう。
□導入コストがかかる
電子図面化する場合は少なからず導入コストがかかります。
今後何十年も紙図面で保管していくよりは、電子化してしまう方がコストの削減が出来ますが、イニシャルコストがかかる事をご理解した上で、よく検討する必要があります。
おすすめの電子化ツール
①Googleドライブ
Gメールアドレスがあれば誰でも簡単に導入する事が出来ます。
初期プランでは容量が足りないかと思いますので、容量を追加購入する必要はありますが、クラウド環境で管理が出来るので、外でも事務作業をする事が出来ます。
また、一人ずつアクセス権限を管理する事も出来るので、セキュリティをしっかりと維持したまま、外部の関係者とも共有が出来ます。
②DXツール
昨今は建設DXの注目度が高くなっており、各社から様々なサービスが生まれいます。
利用できるツールは異なっており、書類の管理だけが出来るサービスから、見積書や工程を作成できるサービスまで、その種類は多岐に渡ります。
また、サブスク型や購入型など、値段も支払い方法も様々あり、貴方の事業に合わせて柔軟にサービスを選択する事が出来ます。
時代の変化に合わせて図面の管理方法も変化しています。
図面のデジタル化を推し進めると、業務効率化や働き方改革に繋がります。
今までの働き方を変えるのはなかなか難しいかと思いますが、まずは図面の電子化など簡単な事から始めてみては如何でしょう。
図面の電子化をご検討されている方に、当記事が参考になりますと嬉しいです。
ご相談やご質問も承っていますので、いつでもお気軽にお問い合わせください。