独立を成功させるには、知識や手段が大切になります。
今回は建設業における独立や起業の様々な事情や流れを解説していきます。
■経営形態によるメリット・デメリット
建設業で独立するには、「個人事業主として独立」「法人として起業」の、2つの選択肢があります。
それぞれの経営形態やメリット・デメリットを比較してみましょう。
pattern1:個人事業主として独立
建設業における独立といえばまず、一人親方としての独立が挙げられます。
請負会社やお客様と直接契約を結び、一人で出来る作業を行うのが一般的のため、スキルがあれば誰でも独立が出来ます。
独立の際の手続きも簡単で、初期費用などもそんなに掛からないので、すぐに実行できる点が魅力です。
一方、法人でなければ取引をしない企業も少なくないので、個人事業主のまま事業拡大は難しいです。
pattern2:法人として起業
株式会社や合同会社などの法人として起業する事も出来ます。
法人は社会的な信用が得られやすいので、銀行からの融資や大きな契約も見込め、事業拡大も視野に入れられます。
また、自分への給与も経費として計上が出来るので、個人事業主より納税額が少なくなります。
一方、起業の手続きが複雑なうえに、初期費用が必要となる点が、デメリットとして挙げられます。
■手続きの違い
pattern1:個人事業主として独立する際の手続き方法
一人親方として独立に必要な手続きは、「開業届」「青色申告承認申請」「地方税の開始申請」など、税務関係の届出を税務署で行えばOKです。
pattern2:法人として起業する際の手続き方法
合同会社や株式会社など、法人として起業するには、法人設立登記が必須です。
定款を作成し、公証役場で認証を受け、法務局で法人設立登記の申請を行います。
また、従業員を雇用する場合は「社会保険」「労災保険」の手続き、税務署や市区町村や労働局への手続きも必要となります。
他にも、商業や資本金額や役員報酬などの決定、会社の代表印や口座の準備もあります。
■建設業で独立するための費用
pattern1:個人事業主として独立する場合
独立手続きにかかるお金や、資本金などは必要ないので、初期費用は殆ど掛かりません。
事務所を借りずに自宅で事業を始めれば家賃も掛からないので、極論をいえば独立資金がゼロでも独立可能という事です。
しかし、事業が安定するまでの期間の自分の給与や、工事を行う材料費や工具の準備費用など、100万円~200万円程は用意しておくと安心です。
pattern2:法人として起業する場合
「収入印紙代」「定款の認証手数料」「登記費用」「登録免許税」など、最低でも20~25万円程は初期費用として掛かります。
また、大きな工事を受注する際には、「建設業許可」が必須となりますが、この建設業許可を取得するには、様々な要件に合致しているかの他に、自己資金が原則500万円以上が必要となり、建設業許可の取得有無で初期費用は大きく変わってきます。
車や事務所、従業員を雇用するのであれば従業員の給与、他にも色々と物入りになってきます。
■独立前に知っておきたい小さな準備
・銀行口座の開設
個人事業主であっても法人であっても、仕事用の銀行口座を準備しておきましょう。
プライベート口座と仕事口座を分ける事で、経費の計上作業がラクになるので、確定申告がしやすくなります。
法人名義の銀行口座を作成するには、必要書類の準備や銀行との面談もあるので、口座開設に時間が掛かってしまいます。
法人設立登記の完了と同時に、迅速に準備を始めましょう。
・十分なスキルを身につける
独立後に工事を安定して受注するには、現場経験を積む事が大事となります。
独立後に競合他業者に負けない為には、突出した専門知識も大切になってきますので、この期間に十分なスキルを身につけましょう。
・専任技術者を目指す
建設業許可の取得には「専任技術者」が必須要項となっています。
事業拡大を目指す場合は、資格を取得しましょう。
専任技術者と認められる資格は、施工管理技士などがあります。
以前までは受験資格が厳しかったのですが、施工管理技士の深刻な人手不足を考慮して、2024年より受験資格が緩和されました。
施工管理技士の受験資格については、別記事で解説しておりますので、詳しくは以下の記事をご覧くださいませ。
┃関連記事:「令和6年より施工管理技術検定の受験資格が改正」
・人脈を作る
人脈は独立後に仕事を得るきっかけになります。
発注者との人脈があると安定して仕事を受注しやすくなりますし、同業者との人脈があると暇なときに手伝ったりと支え合えます。
なるべく縦や横は関係なく人脈を作っておきたいところですが、相手から信頼を得るには長い期間や実績が必要となるので、一朝一夕にはいかないですよね。
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