
近年、環境への配慮や質が重視される中で、木造ビルが注目を集めています。
しかし、これまで鉄筋コンクリート造りだったビルが木造になる事で、「建設コストが高額になるではないか」「耐震性や耐火性は十分なのか」等、疑問視される要素も少なくありません。
今回はそんな木造ビルについて解説していきます。
目次
1. 木造ビルとは
2. 木造ビルのメリットとは
3. 木造ビルのデメリットは
4. まとめ
1. 木造ビルとは
鉄筋コンクリートや鉄骨だけでなく、木材を主要な構造材料として使用する、建築物の事を指します。
これまで3~4階建てが限界とされ ていた木造建築ですが、近年では新しい木材である「CLT」の登場によって、これまでの常識を覆す高層建築が可能となりました。
SDGsへの関心が高まる中、木造ビルは環境に優しいため、次世代の建築として導入が進み、今後の更なる発展が期待されています。
│CLTとは

CLTとは直交集板の事で、木の板を繊維方向が直交するように重ねて接着させた、木材料の事を指します。
コンクリートより軽量でありながら、断熱性・遮音性・遮炎性が優れています。
表面に断熱層を作りながら燃えるため、燃える速度がゆっくりしている事が特徴的です。
2. 木造ビルのメリットとは
従来の鉄筋コンクリート造のビルと比較して、木造ビルでは以下のメリットが挙げられます。
日本の伝統建築で活用されてきた木材の特性は、現代の技術との相性も良くなっており、優れた建築物づくりに貢献しています。
①工期が短縮される
木造建築の大きな特徴は工期の短さにあります。
主に、工場での事前加工(プレカット加工)による効率化やが出来ることや、軽量構造のため工事の簡素化出来ること等が理由に挙げられます。
工期の短縮は建設費用の削減や早期の収益確保に繋がります。
│工事での事前製作(プレカット加工)
主要部材を工場で事前に製作する事で現場での作業が少なくなります。
また、工場で事前製作をしている間は天候の影響を受けないため、工期に影響が出にくいです。
│軽量構造
鉄骨造や鉄筋コンクリート造と比較すると、木造建築は建築重量が軽くなっています。
建物が軽量であればあるほど基礎工事を簡素化できますし、地盤改良の範囲も抑える事ができます。
│短い期間で減価償却が可能
鉄骨造で38年、鉄筋コンクリート造で50年かかると言われる減価償却ですが、木造の場合は24年で減価償却が可能といわれております。
減価償却費として経費計上が出来るため、投資率を高める事が可能となっています。
②環境負荷が少ない
木造ビルの環境負荷の低さは最大のメリットとなっています。
木造ビルは、以下の様に建設時・使用中・解体までのサイクル全体で、環境負荷を低減する事が出来ます。
環境性能の高さは環境配慮型建築物の認定取得にも繋がり、企業としての社会的価値向上も期待出来ます。
│CO2の削減
木材は建材として使用中であってもCO2を吸収し続けます。
│製造時の省エネ性
木材は鉄やコンクリートと比較して製造時の消費エネルギーも少なく抑えられます。
│3Rの実現
木材はリサイクル・リユース・リデュースが出来る資源となっています。
③高断熱

木材は、内部の細胞に空気が含まれており、この空気層が熱伝導を抑えてくれる、多孔質構造となっています。
優れた断熱性はこの構造に起因します。
④素材感のある温かみのある空間に
木材本来の特質を活かし温もりのある心地よい空間を作る事が出来ます。
│視覚
暖色の色調と木目模様が自然を感じられる雰囲気を生み出します。
経年劣化によっては味が深まる事も魅力の1つですね。
│心理
木材でできた空間にはリラックス効果やストレス軽減効果があります。
落ち着きのある雰囲気に纏まるので、ゆるりと過ごせることでしょう。
⑤耐震性
木造は鉄やコンクリートを比較して軽量なため、地震時に建物にかかる負荷を抑えられます。
また、衝撃を受けた時に変形する事で衝撃を和らげてくれる等、木材独特の柔軟性があるため、地震エネルギーを吸収してくれます。
3. 木造ビルのデメリットは
木造ビルには課題もいくつかあります。
①コストが高くなる
従来の鉄骨造や鉄筋コンクリート造と比較して、木造ビルのコストは高くなる傾向があります。
主な理由としては、木造ビルの建設には高強度の木材が必要となるが、高度な加工技術が必要となるうえ生産量に限りがあるため、コストが高くなってしまう傾向にあります。
このコストに関しては、これから木造ビルが普及していくにつれ、改善されると予想されています。
②CLTは現場で加工出来ない
木造の高層化を叶えたCLTですが、幾つかの制約が出てきてしまいます。
配管が通る穴なども事前に加工されている為、設計段階から細部の検討が必要になったり、設計の変更はほぼ不可能となります。
4. まとめ
木造ビルは、環境性と強度を両立させており、注目度が高いです。
これからの社会にマッチした建築物であり、普及が進む事も期待がされています。
しかし一方で、建設コストが高くなってしまったり、CLTの加工後は融通が利かない、といったデメリットも目立ちますが、普及が進み需要が高まる事で、生産工程が効率化されたり、価格も落ち着く事でし ょう。
木造建築の可能性にワクワクしますね。